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山中伸弥、羽生善治、『人間の未来 AIの未来』、講談社(2018) [エッセイ・随筆]

将棋の名人、羽生氏とiPS細胞でノーベル賞を受賞した山中先生の対談録です。

私は、過去に山中先生の講演を聞いた事があります。日本整形外科学会という学会の特別講演だったのですが、何故整形外科の学会で講演会?と不思議に思いましたが、山中先生は初め整形外科医を目指していたんです。ここら辺のいきさつはこの本でも触れられています。講演で見聞きした山中先生のお人柄がそのまま本に現れていて、大変読みやすくわかりやすく書かれています。

NHKスペシャル?で電王戦(プロ棋士とAIとの対戦)が取り上げられていて、その番組もなかなか面白かったので、その流れで読みました。私が知りたかったのは、プロ棋士は対戦でどんなことを考えているのか、それはAIとどう違うのかということでしたが、非常にクリアな回答が示されていました。

人間の指す手は過去からの流れで構築された、美的センスに沿っているということ、一方AIはその都度最適な手を計算で出すことで両者は根本的に異なり、それが人間棋士がAIに対する違和感につながっている、というのは非常に面白いと思いました。

さらに、人間が考える手というのは美的センスに沿っているが故に制約があり、美しくないと捨てている手の中に実は新しい有用な手があるのかもしれないと、羽生さんは考察されています。すごい、さすが羽生さん! すると、AIが提示してくる手を研究することは、将棋の世界を更に深く理解することにつながるだろう、と。

実はこの問題、将棋に留まらずAIが応用される分野全てに言えるんですよね。これから先もAIの進歩は続くでしょうが、現在実現化している技術範囲まででも新しい世界が開けるのではと、興奮した一冊でした。Kindle版も出ています。


人間の未来 AIの未来

人間の未来 AIの未来

  • 作者: 山中 伸弥
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/02/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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