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室生犀星「或る少女の死まで」 [文学小説]

こちらも、Kindle端末で読める電子書籍を入手しました。
著作権が切れているのか、67作品を1冊にまとめたものが99円でした。

「或る少女の死まで」を再読しましたが、こちらは初読のときと印象がほとんど変わらず。
登場人物が暮らす世界の、場末感がぷんぷんする作品なのですが、その中でふじ子の美しさが際立っています。

色々な作品が詰まっているので、楽しめそうです。
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福永武彦『草の花』再び [文学小説]

かなり久しぶりの書き込みです。

福永の作品もいくつか電子書籍化されており、『死の島』をはじめ、『草の花』、『廃市・飛ぶ男』、『夢見る少年の昼と夜』、『風のかたみ』などがAMAZONやApple Storeで入手できます。

福永の小説を電子書籍の形で持っておくと、KindleやiPhoneからいつでもアクセスできてよいですね。常に読むとういうわけではありませんが、昔、出かける際に文庫本を携行するような感覚です。

久々に『草の花』を読み返しましたが、第二の手記の中に書かれた、汐見茂思の戦争に対する苦悩、千枝子とのやりとりが心に残りました。以前は興味が第一の手記の方に行っていたので自分でも意外でしたが。。


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マイケル・ルイス『フラッシュ・ボーイズ』 10億分の1秒の男たち、文藝春秋(2014) [社会科学]

文学作品ではなくて、経済(投資)モノの話が続きます。先日紹介した、『世紀の空売り』に続く、米国ウォール街でくり広げられる投資合戦の物語です。

『世紀の空売り』がサブプライム・モーゲージ債という超有名な話をテーマにしているのに対し、こちらはトレーディングの取引を巡るシステム上の闘いなのでいまひとつ地味(?)に感じました。影響という意味では非常に大きいのですが。

トレーディングのやりとりというのは、当たり前ですが今は電子化されていてシステム同士が高速でやりとりして取引が成立します。この、投資家の動向を10億分の1秒早く把握するだけで大儲けができる(逆に言えば投資家が搾取される)仕組みを詳細に解説したノンフィクションなのですが、どうもいまひとつぴんときませんでした。説明が不親切だったりわかりにくいというわけではなくて(むしろかなり丁寧に解説されている)、自分自身がこの業界のことをよく知らないからかもしれません。しばらく経って読み返せばもう少しわかるようになると思っています。

確定拠出年金やNISAなど、私も今から準備を進めていますので他人事ではいられません。こういうのってまずは具体的なハウツー本を見るのが最初でこの本のような業界全体の大きな話は一番最後か(自分の投資のために限れば)読む必要はなかったりします。ですから純粋に面白そうと思える人に対してだけ、お勧めします。 

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

  • 作者: マイケル ルイス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/10/10
  • メディア: 単行本



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マイケル・ルイス『世紀の空売り』-世界経済の破綻に賭けた男たち、文春文庫(2013) [社会科学]

2007年に起きたリーマンショック(世界同時の株価暴落)にまつわる実話で、リーマンショックで儲けを出した男たちの物語です。切り口がちょっと変わっているのと、以前に読んだこの著者の本が面白かったので購入しました。また本の解説を書いているのが、話のわかりやすさでは定評がある(と私は思う)藤沢数希さんでしたので、きっと面白いに違いないと踏んだのです。

サブプライム・モーゲージ債のしくみとその崩壊については今までにたくさん解説されていますし、私も当時NHKの特集番組を見た記憶があります。金融工学を駆使(?)したあぶなっかしい金融商品だと解説されていたように思いますが、その仕組みを利用して大もうけした人たちがいたという話は、ほとんど取り上げられなかったように思います。本書の主題はまさにこの部分で、慧眼(目利き)を持つ人たちの話でもあります。原文の「マネー・ショート」という題名そのもので映画化されています(まだ観ていませんが)

サブプライム・モーゲージ債が崩壊すると予想するのは、もしかしたらさほど難しくなかったのかもしれません。ウォール街の熱狂から少し距離を置いて冷静になることができれば。でもサブプライム・モーゲージ債の崩壊を儲けにつなげる道筋を付けたのは、本当にすごい。株を買って株価が上がれば儲かるといった単純なしくみではなく、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という一種の保険のような金融工学商品を使うのですが、サブプライム・モーゲージ債を対象としたCDSというのは存在しなかった。証券会社を説得して商品を作り出したというのもすごい。

サブプライム・モーゲージ債が崩壊したときに儲ける方法を考案し、そのしくみを現実化させたのはマイケル・バーリという株式投資家かつ医師です。私はこの人物に強く心を惹かれました。この一風変わった、アスペルガー症候群を患った人物たった1人の慧眼に、ウォール街の関係者全員が及ばなかったというのは実に驚くべき状況です。非常に痛快な話です。もっともバーリ氏はファンドを立ち上げ投資には成功しますが、人付き合いに難があったせいかあまり報われなかったようですが。

人に認められたい、好かれたいという方には全く興味が無いと思いますが、物事の基礎事実の把握、物事の根幹の理解や独創について興味がある人には面白いと思います。このような資質が対人関係とバーターになっているということも併せてですが。




世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

  • 作者: マイケル・ルイス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 文庫



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岩瀬大輔『ネットで生保を売ろう!』、文藝春秋(2011) [エッセイ・随筆]

5年前に買っていた本ですが、最近やっと読了しました。

日本で初めてのネットによる生命保険を立ち上げ、ビジネスを始めるところまでの話です。新聞やTVで盛んに取り上げられたことがあるので覚えている方もおられるのではないかと思います。

メディアに取り上げられて話題になっても、それが直ちに収益には結びつかないとか、暖かい応援があっても実際にお金を払って契約してくれるのは別の話だとか、リアルな話がきちんと書かれていて面白かったです。宣伝は決して手を抜いてはいけない、どんなに良いと信じていて、実際そのように思ってくれる人が多くても、自然に売れることはないのがよくわかりました。最近は必要に迫られていマーケッティングの本をいくつか読んでいるのですが、良い実例を知ることがでたという感じです。


ネットで生保を売ろう!

ネットで生保を売ろう!

  • 作者: 岩瀬 大輔
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/03/24
  • メディア: 単行本



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押井守、『凡人として生きるということ』、幻冬舎新書(2008) [エッセイ・随筆]

アニメ映画監督、押井守氏のエッセイです。

この人の作品の大ファンというわけではないのですが、「スカイ・クロラ」は記憶に残っています。全体的に哀しいトーンの作品で、永遠に大人にならない子どもたちによる、戦争請負企業による代理戦争という、ちょっと考えつかないような大がかりな話でした。登場人物を子どもに限定したので、ドロドロした人間関係を回避できて、その分やるせなさが強く打ち出したような作品でした。

さて、この本について。第1章の「オヤジ論」は逸品ですね。オヤジというのはその時の社会情勢で自動的に決まってしまうものと定義されているのですが、オヤジは無意味なことに興味を示さないし金を使わない。もしそうでないオヤジがいれば、それは人間的に未熟なんだと論じています。ああ、なるほどねえ、ビンゴ!

もうずいぶん前ですが、チョイ悪オヤジとか、やんちゃ買い(=大人の衝動買い)という言葉が雑誌などに出たことがありましたが、あまり流行らずに消えていったように思います。その理由が見事に分析されていて、面白かったです。オヤジをそそのかして財布の口を開かせようとしても、それは無理だということでしょうか。押井氏のこの分析は、若さに価値などないという主張とカップリングしていて、社会的に見て若者の利用価値は低いということとセットで語られています。クールな分析で面白いです。


凡人として生きるということ (幻冬舎新書)

凡人として生きるということ (幻冬舎新書)

  • 作者: 押井 守
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 新書



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佐々木典士『ぼくたちにもうモノは必要ない。』、ワニブックス(2015) [エッセイ・随筆]

ミニマニストという、生活に必要なものは最低限にしてやっていくことを紹介した本です。後片付けや整理を更に推し進めたバージョンといった感じでしょうか。著者の生活空間が写真入りで紹介されていて(しかもご親切にbeforeとafterが)、こんなにシンプルに生活していますよとアピール。単なるテクニックの紹介ではなくて、本当に根っから真剣にミニマニストをお勧めしますという熱い気持ちが伝わってきますね。本の作りはいたって良心的で真面目です。

本書の主張は極めてシンプルで、1)新しいモノを手に入れてもじきに飽きる、2)物欲は底なしなので全部満たすのは無理、3)モノを持たないことで自分の時間を取り戻せる、といったあたりでしょうか。これにミニマニストを心がける上でのハウツーが付いています。すごいと思ったのが、”心がときめくモノも捨てる”(笑)。旅先のクロアチアで手に入れた陶器の十字架を例にして語られていて、これを捨ててからお土産探しに時間を取られず旅自体に集中できるようになったとありますが、自分は正直ここまでは無理(笑)。でも、姿勢や考え方には惹かれるものがあります。

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著者以外のミニマニストの部屋も写真で紹介されていて、ほとんどモノの無いワンルームの部屋に、SONYのヘッドマウントディスプレイを付けて映画を楽しむ方の様子が紹介されています。ミニマニストの方の部屋というのは、旅館やホテルにチェックインして部屋のドアを開け、中を見回したときの印象に近いです。

光瀬龍が書いたSFマンガ(小説も出ています)に『百億の昼と千億の夜』という作品があります。昭和52年に発表された古い作品で、神々の世界の戦いを描いたものです。この中にゼン・ゼンという都市が出てくるのですが、ここでは上級市民は意識を奪われて機械に接続され、機械が提供する極楽の夢を見続けることで生(?)を謳歌します。

私には、がらんとした部屋で映画を楽しむのが、私の頭の中でこのゼン・ゼン市民の様子と重なってしまって、真似をしたいとは思いませんでした(^^; 私はゲームは全くやらないし、映画もほとんど観ないのであまり関心がないというのもあるかと思いますが、これらが好きな方々はまた違った感想を持たれるのかもしれません。

筆者もスマホ(iPhone)は手放せないモノに入るようで、デジタル機器をどこまで減らせるかは多機能化がどこまで進むかに依るとことも大きいかもしれません。


ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -

ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -

  • 作者: 佐々木 典士
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2015/06/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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麻酔の本 [自然科学]

今回は、麻酔の本を2冊ご紹介します。いずれも麻酔科医が書かれたものです。

1.廣田 弘毅、『麻酔をめぐるミステリー』、化学同人(2012)
2.外 須美夫、『麻酔はなぜ効くのか?』、春秋社(2013)

1は麻酔について勉強する人を対象に書かれた入門書で、対話形式になっています。麻酔についての薬理学的な説明が中心ですが、麻酔発見から今現在までの流れも入っていて、エントリー本としては良いものかと。

麻酔は意識を消失させる働きがありますが、見方を変えれば「意識」を化学反応のネットワークとして捉えることにつながります。吸入麻酔薬により海馬の機能を完全にシャットダウンして記憶の形成を阻害すると、その間だけ記憶が飛ぶことがわかっている。記憶と意識は密接に関係しているが、それでは脳内でどのような反応が起きれば意識が生じるのか(著者は、「脳内で、どこの領域のニューロンが何個くらい、どのようなシグナルを発したら意識が生じるのか」といった、より科学的に正確に記載しています)についてはまだ不明とのこと。仮説はあるようですが(アセンブリモデルというものが紹介されています)、それが検証されるのは未だ先でしょう。

2は、臨床現場にいる麻酔科医のメッセージという内容で、「痛みの哲学臨床ノオト」というサブタイトルが付いています。手術室における麻酔科医の役割や働きについて書かれたエッセイで、麻酔科医の仕事と役割と重要性について知るには良い本かと思います。麻酔非常にartificialな状態であり、麻酔科医がサポートすることで初めて安全かつ有効に機能する、そしてその上に手術や鎮静という治療方法が確立しているということがよくわかります。


麻酔をめぐるミステリー: 手術室の「魔法」を解き明かす (DOJIN選書)

麻酔をめぐるミステリー: 手術室の「魔法」を解き明かす (DOJIN選書)

  • 作者: 廣田 弘毅
  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2012/07/30
  • メディア: 単行本




麻酔はなぜ効くのか?: 〈痛みの哲学〉臨床ノオト

麻酔はなぜ効くのか?: 〈痛みの哲学〉臨床ノオト

  • 作者: 外 須美夫
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2013/04/22
  • メディア: 単行本



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扁桃腺炎とラー油 [日々のこと]

昨年までは、結構な頻度で扁桃腺炎に罹っていました。扁桃腺に細菌が感染して腫れ、痛いのと声が嗄れるのが主症状です。医者に行くと抗生物質を処方されます。一度はこれ以上酷くなったら入院だったと言われてしまいました。

年に数回繰り返すと慢性化が疑われ、扁桃摘出の手術を受けなければならなくなるとのこと。ちょっとそれは勘弁願いたいと思っていたのですが、原因は身近なところにありました。

それは、ラー油です。私はラー油のぴりっとした胡麻味が好きで、味噌汁や中華スープに入れていたのですが、それが喉を刺激して良くなかったようです。確かにラー油を入れた汁物を飲んだ時にはむせたりしていましたからねえ。ラー油を入れるのを止めたら扁桃腺炎にはぴたっとかからなくなりました。

誰かに指摘されて気がついたわけではなくて、自分で発見したのですが、身近なところに体調不良の原因が転がっていたという話でした。

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弁当の食べ方 [日々のこと]

先日、仕事で都内の某高級ホテルへ行きました。

朝から晩まで終日あったイベントで、昼は主催者側がお弁当を用意してくれました。かなり豪華な和洋折衷の幕の内弁当で、質、量ともに超一流品。すき焼きの横には別容器で半熟の卵がついていて、すき焼きは卵につけて食べるよう配慮されていました。

近くの席にいた外人さんが、「食べ方に順番はあるのか?」と隣の日本人に聞いていました。おそらく前菜、メイン、デザートに相当するものがあると思ったのでしょう。今まであまり考えてみたことありませんでしたが、幕の内弁当って果物のようなデザートは別にしても、どれから食べるか気にしませんよね。そもそも作法とされるような順番があるのかどうだか。結局、どれから食べてもいいんですよと言われて外人さんは納得したようですが。例の半熟卵をカツレツにつけて食べていたの少々奇妙に映りました。

でも、半熟卵がすき焼きとセットになっていたことに気がついた人は多くなかった。幕の内弁当のレイアウトに組み込まれてしまうと、すき焼き-卵といった組み合わせを認識できなくなってしまうんですかね。私もこの2つがペアだというのはすき焼きを食べてしまってから気がついたのです。日本では料理を然るべき容器に入れてどのように食べるかを示しますよね。半熟卵もつけ皿とわかる容器に入っていたら、少なくとも日本人は半熟卵の扱いを理解したのだろうなあと思いました。

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