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佐々木融『弱い日本の強い円』、日経プレミアシリーズ(2011) [社会科学]


弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)

弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 佐々木 融
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2011/10/12
  • メディア: 新書


佐々木融『弱い日本の強い円』、日経プレミアシリーズ(2011)
日本経済新聞社
ISBN978-4-532-26138-2 C1233
850円
☆☆☆☆★

第1章 円高と円安-その本質を理解する
第2章 為替の市場はどんなところか
第3章 国力が為替相場を決めるわけではない
第4章 円に買われる理由などいらない
第5章 強い雇用統計で売られるドル
第6章 米ドルは最弱通貨
第7章 米金利が低下すると円高になる
第8章 介入で「円安誘導」などできない
第9章 「対米ドル」相場一辺倒の時代は終わった

最近、円高、ドル安、ユーロ安という言葉をニュースや新聞でよく耳にします。会社(特に製造業)にお勤めの方(私もそうですが)では、これらの言葉は聞き捨てならず、利益が減る!給料が減る!とハラハラしながら過ごしている方もいらっしゃることと思います。また外貨建て預金をされている方も、やはり眠れぬ日々を過ごしていらっしゃるかもしれません。

日本の景気が悪いと円安になる、日本の国力が弱まると円安になる、米国の力が強いと米ドルは強くなる、ギリシャやイタリアが財政危機だからユーロが安い、と色々な情報が飛び交っています。しかし、この本を読むことで基本的な為替相場の知識を身につけることができて、よく耳にする話も実は全く逆であったり、間違っていることがわかります。少なくとも私の場合は、日々見聞きするニュースを元に理解していたことが全く逆だった-例えば、為替レートは国力とは関係ない、世界の景気が上向くとドル安、円安となる-というような話を知ることができて、とても有益でした。特に今後の為替レート(米ドル/円)については皆が注目していて、仕事上からも見通しについて同僚と意見を交わされる方も多いと思いますが、取締役クラスの方でも上記の事項を誤解している人がいますので、きちんとした知識をどこかで得ておくのは悪くないかと。

・日本は世界最大の純債権国であり、非常に大きな為替リスクを負っている。
→リスクヘッジのため、先物保有の外貨を売却して円を購入
・日本は、短期、長期金利が主要国で最も安い。
・日本は金融資本市場が非常に大きく、投資家、事業法人の資金が豊富。
・日本は世界第二位の経常黒字国であり、変動相場制を採用して資本規制がない国としては日本は世界第一位となる。

上記のような事情で、世界の景気が悪くなったときには円が買われ、円高になるとのメカニズムらしいです。米ドルやユーロが弱くなった際に投資マネーの行き先が無くて仕方なく円が買われた、というのは考え難く、投資家が海外投資先からお金を引き上げて円を買い戻しただろうとのこと。(ただし為替リスクのヘッジなので外国債券を売却するわけでなく、外貨売り、自国通貨買いのみとなる場合ありとのこと)

ところで、以前、外貨建ての預金や外国の国債や株に投資するのを勧める向きがありました。1990年の過去21年間で、円は最強通貨だったので、銀行預金やタンス預金で円を抱えていた人が結果的にうまい投資をしたことになると指摘しています。外国への投資を積極的に勧めて、リスクを取らなければリターンは得られないと言っていた人たちは結果として間違っていて、最もコンサバに円を銀行預金していた人たちが正しかった、というは正しかったわけです。(だから今後も円の銀行預金がベストということにはもちろんなりません、念のため)

以上
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