麻酔の本 [自然科学]
今回は、麻酔の本を2冊ご紹介します。いずれも麻酔科医が書かれたものです。
1.廣田 弘毅、『麻酔をめぐるミステリー』、化学同人(2012)
2.外 須美夫、『麻酔はなぜ効くのか?』、春秋社(2013)
1は麻酔について勉強する人を対象に書かれた入門書で、対話形式になっています。麻酔についての薬理学的な説明が中心ですが、麻酔発見から今現在までの流れも入っていて、エントリー本としては良いものかと。
麻酔は意識を消失させる働きがありますが、見方を変えれば「意識」を化学反応のネットワークとして捉えることにつながります。吸入麻酔薬により海馬の機能を完全にシャットダウンして記憶の形成を阻害すると、その間だけ記憶が飛ぶことがわかっている。記憶と意識は密接に関係しているが、それでは脳内でどのような反応が起きれば意識が生じるのか(著者は、「脳内で、どこの領域のニューロンが何個くらい、どのようなシグナルを発したら意識が生じるのか」といった、より科学的に正確に記載しています)についてはまだ不明とのこと。仮説はあるようですが(アセンブリモデルというものが紹介されています)、それが検証されるのは未だ先でしょう。
2は、臨床現場にいる麻酔科医のメッセージという内容で、「痛みの哲学臨床ノオト」というサブタイトルが付いています。手術室における麻酔科医の役割や働きについて書かれたエッセイで、麻酔科医の仕事と役割と重要性について知るには良い本かと思います。麻酔非常にartificialな状態であり、麻酔科医がサポートすることで初めて安全かつ有効に機能する、そしてその上に手術や鎮静という治療方法が確立しているということがよくわかります。
1.廣田 弘毅、『麻酔をめぐるミステリー』、化学同人(2012)
2.外 須美夫、『麻酔はなぜ効くのか?』、春秋社(2013)
1は麻酔について勉強する人を対象に書かれた入門書で、対話形式になっています。麻酔についての薬理学的な説明が中心ですが、麻酔発見から今現在までの流れも入っていて、エントリー本としては良いものかと。
麻酔は意識を消失させる働きがありますが、見方を変えれば「意識」を化学反応のネットワークとして捉えることにつながります。吸入麻酔薬により海馬の機能を完全にシャットダウンして記憶の形成を阻害すると、その間だけ記憶が飛ぶことがわかっている。記憶と意識は密接に関係しているが、それでは脳内でどのような反応が起きれば意識が生じるのか(著者は、「脳内で、どこの領域のニューロンが何個くらい、どのようなシグナルを発したら意識が生じるのか」といった、より科学的に正確に記載しています)についてはまだ不明とのこと。仮説はあるようですが(アセンブリモデルというものが紹介されています)、それが検証されるのは未だ先でしょう。
2は、臨床現場にいる麻酔科医のメッセージという内容で、「痛みの哲学臨床ノオト」というサブタイトルが付いています。手術室における麻酔科医の役割や働きについて書かれたエッセイで、麻酔科医の仕事と役割と重要性について知るには良い本かと思います。麻酔非常にartificialな状態であり、麻酔科医がサポートすることで初めて安全かつ有効に機能する、そしてその上に手術や鎮静という治療方法が確立しているということがよくわかります。
麻酔をめぐるミステリー: 手術室の「魔法」を解き明かす (DOJIN選書)
- 作者: 廣田 弘毅
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2012/07/30
- メディア: 単行本