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渡邊正裕『10年後に食える仕事、食えない仕事』、東洋経済新報社(2012) [論説文]

ISBN978-4-492-26103-3 C0036
1500円

☆☆☆☆★

仕事を分類し、10年後にそれらの仕事の価値を占う。今の仕事が10年後にどれだけの価値があるのか、稼ぐ力を持っているのかを分析している本ですね。My NewsJapanというマガジンで連載されていたものを1本の本にまとめたものです。

基本は4つに分類して分析すること。ビジネスでよく出てくる、「ポートフォリオ分析」というやつです。図表はわかりやすいしよく工夫されているので、プレゼン資料の作り方の参考書にもなりますね。

「グローカル」、「ジャパンプレミアム」といった、新しい概念を提示しています。これから中国やインドなどの国から、日本に比べて遥かに安い労働力が入ってくる、だからモノ、サービスの単価が日本だけ高いことはあり得ない、日本の労働者人口の7割はこれらの安い労働力との競争を避けることができないので、賃金はグローバル最低賃金に落ちるというのがこの本の骨子でしょうか。しかし一方で日本人であることのメリットや日本固有のサービスは存在し続けるので、ここらあたりに10年後を生きるキーがあるというメッセージも同時に含まれています。

どの世代の人が読んでも面白いと思いますが、できれば社会人2-3年生くらいまでで読まれるとより一層効果があるかもしれません。

以上


10年後に食える仕事、食えない仕事

10年後に食える仕事、食えない仕事

  • 作者: 渡邉 正裕
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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竹内健『世界で勝負する仕事術』、幻冬舎新書(2012) [論説文]

ISBN978-4-344-98247-5 C0295
780円
☆☆☆★★

第1章 配属先はお荷物部門
第2章 エンジニアがなぜMBA?
第3章 半導体ビジネスの最前線で
第4章 ふたたびゼロからの出発
第5章 なぜ世界一でなくてはダメなのか
第6章 挑戦しないことが最大のリスク

半導体ビジネスの実情を赤裸々に語った肉食系の本。競争も激しく技術進歩が早いため、少しでも気を抜いたら生きていけないという緊張感が漂う。一番手が全てを征してしまうという、とてもやりがいがある世界のお話だ。まあ、薬はそこまでシビアではなく、オリンピックルールと言って三番手くらいまでならなんとか大きく市場を取れるのだけれど、それは薬を飲む側の患者さんの反応が必ずしも一律ではなく、同じ作用機序のものでも化学構造が異なったものは存在価値があるという経験則から来ている。でもきっと半導体だとその上に載るのはデジタルデータやプログラムなので反応は100%均一だろうから、一番手が全てを征するのはうなづける。

著者は、結局東芝を辞めて大学研究者の道を歩むことになるのだが、組織を離れた人間が味わう孤独をイヤというほど舐めたようだ。そこは「必死だった」とさらりと書いているが、実際には並大抵の努力ではなかったはず。「有名企業の第一線にいた人が、起業するなり大学に移るなりしたら、本当にその人に実力があるのかどうか、手を差し伸べる前にまずは注視するでしょう(pp.111)」というのま、まさにその通り!。

以上

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

  • 作者: 竹内 健
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/01/28
  • メディア: 新書



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池田信夫『ウェブは資本主義を超える』、日経BP(2007) [論説文]


ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成

ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成

  • 作者: 池田 信夫
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2007/06/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ISBN978-4-8222-4596-2 C0095
1,700円
☆☆☆★★

第1章 ウェブで何が起こっているのか
第2章 マスメディアの終焉
第3章 イノベーションの条件
第4章 著作権という既得権
第5章 IT産業・復活への道
第6章 通信と放送の未来
第7章 「自治国家」の病理

私は池田信夫先生のブログの愛読者の1人で、池田先生の著書もいくつか読んでいます。この本が出版されたのは2007年と少々昔で、その当時私は池田先生のことは知らなかったのですが、このようなインターネット社会についてのまとまった考察が出ているのを知ったのは割と最近でした。

考察の素材としては、グーグル、ユーチューブ、2チャンネルはカバーされていますがフェースブックやツイッターは含まれていません。、まあでもこれは大した問題ではなく、ネット社会の本質を分析した論文(と言ってもよいでしょう)なので読みごたえは充分にあります。各章は独立して読めるようになっているので、興味のある部分を拾い読みするだけでも充分に楽しめます。

私が面白いと思ったのは、第5章で考察されていた、技術のコモデティ化の話。1980年頃からのコンピューター産業の変遷を振り返り、ソフトもハードもコモデティ化されたことでこの産業が飛躍的に伸びたとされています。私は、コモデティ化は各作業パート(ソフト開発、IC設計など)の分業を可能とし、それにより参入のチャンスが全世界に広まり、これが飛躍的発展の主な理由だろうと思います。これはデジタル家電(スマホ、HDDレコーダーなど)全部について言えることで、今後はコモデティ化は避けられない流れなんだろうなあと思います。

以上

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ちきりん『自分のアタマで考えよう』、ダイヤモンド社(2011) [論説文]


自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

  • 作者: ちきりん
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2011/10/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ちきりん『自分のアタマで考えよう』、ダイヤモンド社(2011),\1400
ISBN978-4-478-01703-6 C2034
☆☆☆☆★

『ゆるく考えよう』に続くちきりんの著書で、思考方法について述べたもの。エッセイではなくてかなりきちんとした論説文であり、内容的にも使える本であります。少なくとも考え方や情報の集め方を紹介している本としてよくできており、実用的と言えるように思います。

著者は、「知る」、「調べる」と「考える」を決してごっちゃにしないように、前者2つは「考える」ためのお膳立てに過ぎないので、「知る」、「調べる」だけで止まらないようにと強調します。『ゆるく考えよう』の中にも出てきますが、インプットする行為には価値が無く、アウトプット、すなわち結論を出して初めてそこに価値が生まれるわけです。これが本書全体を貫くメッセージで、世間で答えが出ていることも敢えて自分の頭で考えてみることを強く勧めています。

後半の章は、考えるための着眼点やツールの紹介に充てられています。自分自身が判断するための思考フィルター、グラフ作成のテクニックなど。この部分は実用的で直ぐに応用できますので、これだけでも価値があるかも。階段グラフという言葉は初めて聞きましたが、確かにプレゼンのやり方次第では威力を発揮しそうですね。

以上
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山崎将志『残念な人のお金の習慣』、青春出版社(2011) [論説文]


残念な人のお金の習慣 (青春新書プレイブックス)

残念な人のお金の習慣 (青春新書プレイブックス)

  • 作者: 山崎 将志
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2011/12/16
  • メディア: 新書



山崎将志『残念な人のお金の習慣』、青春出版社(2011)
★★★☆☆

「残念な人」シリーズの最新刊で、お金にまつわる話を集めたものです。筆者は、投資で痛い思いをした経験があるそうで、その経験談も入っています。

第1章 お金を稼ぐために決定的に重要なこと
第2章 お金のためにすべてを変えろ
第3章 お金を稼ぐ人の時間と頭の使い方
第4章 貯金、そして投資、消費、浪費
第5章 こうすると投資は失敗する
おわりに

 読者層を選ぶ本で、少なくとも定期的にきちんと収入があり、生活には困っておらず、かつ投資を考えてみようかという少額の元手を持っている人を対象にしているように思います。内容としては至極まっとうなことがわかりやすく書かれているので、この手の入門書としては悪くないでしょう。特に楽をしてお金を増やしたい、収入を得たいと思っている人に対しては、そんなことは無理だと綿々と説明し続けます。お金を稼ぐ人とそうでない人の比較も論じられていますが、筆者独自の視点はあまり感じられませんでした。今自分が立っている足下をきちんと見て、現在の仕事で収益アップを図るのが最も効率がよいというのは、確かにその通りかと。

 第4,5章が投資に関する内容になっています。筆者は投資を否定しているわけではありませんが、ある条件(7つあります)を満たさなければ手を出さない方が良いだろうと説いています。今、日本はデフレなのでお金の価値が上がっており、先のことはわからないまでも敢えてリスクを取る必要があるかはよく考えた方がよい、と。(具体的に何をどう考えるかは本書をお読み頂ければ書かれています) 投資をするならば、このような商品が良いという紹介本はたくさんありますが、それらの本は「投資をする」という前提に立って書かれているものが多いのです。この本は、そもそも投資をする/しないという判断のところを結構詳しく説明してくれているので、投資をすると決断した人、そうでない人の両方が読んで益になるとことがあるでしょう。

山崎氏は時間の価値を非常に気にする方のようで、投資で儲かるにしても、それに投入する手間(特に時間)を見極めなければいけないと強調します。これはお金と時間を秤にかけることですが、それに先だって自分の人生設計をしっかりと見て、お金と時間の価値を考えておかなければならないということですね。

以上
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ウェブサイトに感想文をアップロードしました:小谷野敦『「昔はワルだった」と自慢するバカ』 [論説文]

ウェブサイトに感想文をアップロードしました。
小谷野敦氏のファンの方にはお勧めします。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/Kaede02/bookreport/bookrep54.html

見てみたら、2011年は全く更新していませんでした(^_^;)
基本的には、文学系の感想文や情報はウェブサイトへ、それ以外はここ(Blog)という振り分け方をしています。今までは読書ノートはプライベートで別途作成していましたが、作成および管理の手間を省くため、Blogへ一本化することにしました。Blogはクラウドサービスの一種ですから、バックアップもばっちりですしね。

以上
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上野千鶴子、古市憲寿『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』、光文社新書(2011) [論説文]

社会学者、上野女史と院生の古市氏の対談で、日本の社会保障のシステム(主な話題は、介護)について取り扱ったものです。介護保険の歴史から、実態、問題点まで様々な話題が含まれているので、少しでも関心のある方に対してはお勧めできる書籍です。古市氏も、前書きで「読み終わったら知り合いで回し読みしてください」と言っているように、ここに書かれている内容は今後ますます重みを持ってくることでしょうね。

第1章 何が不安なのか、わらからない、という不安
第2章 介護という未知のゾーンへの不安
第3章 介護保険って何?
第4章 それより自分たちのこれからのほうが不安だった
第5章 少子化で先細りという不安
第6章 若者に不安がない、という不安
第7章 不安を見つめ、弱さを認めることからはじまる

様々な課題があるものの、介護保険は日本に定着していますが、施行当時は「家族崩壊」と騒がれた、と書かれています。これは、家族主義の介護をすべきだとの理由だったそうですが、結局のところ介護保険は日本で立ち上がった。これは結局のところ日本にとって非常にラッキーであったと説明されています。ここら編の事情は、昨今のニュースを見聞きしているだけでは得難い情報なので、非常に興味深く読めます。介護保険はあくまでも「補助」なので、元々それだけで足りないように作られているのだとも。

そう言えば、国民皆保険制度も施行当時には医師会が「医療の質が落ちる」と、猛反対したと聞いたことがあります。それが今では、「日本が世界に誇るべき制度」となっていたり(笑)。医療保険も介護保険も、先見の明があった人が制度を推進した、という格好いい話であれば、それはそれで素敵なのです。しかし少なくとも介護保険の方は財政健全化路線の一つで、あまり格好良い話ではないようですね。

ともかく、とても勉強になるというか、ためになる1冊ですので、お勧めです。

上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)

上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)

  • 作者: 上野千鶴子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/10/18
  • メディア: 新書



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勝間和代『まじめの罠』、光文社新書(2011) [論説文]

勝間和代は、ご本人が会計のプロ(会計士)であることと外資系コンサルティング会社での実務経験をお持ちであるのが特色で、この2分野について書かれた本は結構面白いと思っています。それから派生した仕事術のようないわゆるハウツーものについては、人それぞれかと思いますが様々な情報源やツールをかなり丁寧に紹介してくれているので、人によっては有益な情報でしょう。私は勝間氏の本からマインドマップとこれを作成するソフト, Mind Managerを知って現在も使用しています。

ただ、そこから更に派生した生き方や精神論の部分になってくると、面白い部分はあるのもの清涼飲料剤のような要素が強くなってきます。その時は読んで面白いけどあまり残らないというか、まあそういう風に感じているわけですね。この本もそんな精神的清涼飲料剤の一つ、かな。要はこつこつやるのがどのような場合にでも美徳となるわけではなく、精度は落ちても他のこと(所要時間とか)を考えて価まじめの価値を決めたらどうですか、というような内容です。

まじめの弊害についての話が延々と続くので、まじめにやっている(と思っている)人にはバカにされたような気分を味わうかもしれません。過程ではなくてもっと結果を直視しようよというのは、結構大事なことなので、まあリアル書店やアマゾンでちょっと見てみる価値はあるかも。


まじめの罠 (光文社新書)

まじめの罠 (光文社新書)

  • 作者: 勝間和代
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/10/18
  • メディア: 新書



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外山滋比古『ライフワークの思想』、ちくま文庫(2009) [論説文]

ウェブサイトへ感想文をアップロードしました。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/Kaede02/bookreport/bookrep51.html

ライフワークに関するエッセイ風の論説文で、30年前に書かれたものが集められています。割と普遍的な内容なので古くさい感じは受けませんが、インターネットや社会のグローバル化といった要素に関しては続編を望みたいところです。

自らのライフワークを見つけたり、磨いたりといった目的にはあまり役に立たないので、そのような期待を持って本書を手に取るとがっかりするであろうことはお知らせしておきます。

以上
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岡田睦生『音楽の聴き方』-聴く型と趣味を語る言葉、中公新書(2009) [論説文]

今日は、東京郊外は一日雨が降っています。とても寒い1日でした。

さて、ウェブサイトの読書ノートへ1冊紹介文をアップロードしました。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/Kaede02/bookreport/bookrep43.html

西洋古典音楽(クラッシック)を題材にした、音楽を聴くテクニックや留意点、周辺知識を解説した本です。
この手の本は、著者の趣味や嗜好を紹介し、思い入れたっぷりに書かれるエッセイ、という感じがしますが、本書は全くそのようなものではなく、極めて論理的に構成された論説文です。このような点に留意し、知識を付ければあなたの音楽鑑賞がもっと楽しく、深く、広くなりますよと親切に紹介しています。

私は、クラッシック音楽は結構好きで家でも外(メモリーオーディオ)でもよく聴きます。モーッアルト、ヘンデル、パーセルがお気に入りなのですが、モーッアルトが明るい感じなのに対して、ヘンデルは華やか、パーセルは繊細という感じがしますね。こういう感想も、もっと知識を付ければ作品ごとにいろいろな言葉で豊かな表現ができるのかもしれませんね。

以上
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