佐々木典士『ぼくたちにもうモノは必要ない。』、ワニブックス(2015) [エッセイ・随筆]
ミニマニストという、生活に必要なものは最低限にしてやっていくことを紹介した本です。後片付けや整理を更に推し進めたバージョンといった感じでしょうか。著者の生活空間が写真入りで紹介されていて(しかもご親切にbeforeとafterが)、こんなにシンプルに生活していますよとアピール。単なるテクニックの紹介ではなくて、本当に根っから真剣にミニマニストをお勧めしますという熱い気持ちが伝わってきますね。本の作りはいたって良心的で真面目です。
本書の主張は極めてシンプルで、1)新しいモノを手に入れてもじきに飽きる、2)物欲は底なしなので全部満たすのは無理、3)モノを持たないことで自分の時間を取り戻せる、といったあたりでしょうか。これにミニマニストを心がける上でのハウツーが付いています。すごいと思ったのが、”心がときめくモノも捨てる”(笑)。旅先のクロアチアで手に入れた陶器の十字架を例にして語られていて、これを捨ててからお土産探しに時間を取られず旅自体に集中できるようになったとありますが、自分は正直ここまでは無理(笑)。でも、姿勢や考え方には惹かれるものがあります。
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著者以外のミニマニストの部屋も写真で紹介されていて、ほとんどモノの無いワンルームの部屋に、SONYのヘッドマウントディスプレイを付けて映画を楽しむ方の様子が紹介されています。ミニマニストの方の部屋というのは、旅館やホテルにチェックインして部屋のドアを開け、中を見回したときの印象に近いです。
光瀬龍が書いたSFマンガ(小説も出ています)に『百億の昼と千億の夜』という作品があります。昭和52年に発表された古い作品で、神々の世界の戦いを描いたものです。この中にゼン・ゼンという都市が出てくるのですが、ここでは上級市民は意識を奪われて機械に接続され、機械が提供する極楽の夢を見続けることで生(?)を謳歌します。
私には、がらんとした部屋で映画を楽しむのが、私の頭の中でこのゼン・ゼン市民の様子と重なってしまって、真似をしたいとは思いませんでした(^^; 私はゲームは全くやらないし、映画もほとんど観ないのであまり関心がないというのもあるかと思いますが、これらが好きな方々はまた違った感想を持たれるのかもしれません。
筆者もスマホ(iPhone)は手放せないモノに入るようで、デジタル機器をどこまで減らせるかは多機能化がどこまで進むかに依るとことも大きいかもしれません。
本書の主張は極めてシンプルで、1)新しいモノを手に入れてもじきに飽きる、2)物欲は底なしなので全部満たすのは無理、3)モノを持たないことで自分の時間を取り戻せる、といったあたりでしょうか。これにミニマニストを心がける上でのハウツーが付いています。すごいと思ったのが、”心がときめくモノも捨てる”(笑)。旅先のクロアチアで手に入れた陶器の十字架を例にして語られていて、これを捨ててからお土産探しに時間を取られず旅自体に集中できるようになったとありますが、自分は正直ここまでは無理(笑)。でも、姿勢や考え方には惹かれるものがあります。
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著者以外のミニマニストの部屋も写真で紹介されていて、ほとんどモノの無いワンルームの部屋に、SONYのヘッドマウントディスプレイを付けて映画を楽しむ方の様子が紹介されています。ミニマニストの方の部屋というのは、旅館やホテルにチェックインして部屋のドアを開け、中を見回したときの印象に近いです。
光瀬龍が書いたSFマンガ(小説も出ています)に『百億の昼と千億の夜』という作品があります。昭和52年に発表された古い作品で、神々の世界の戦いを描いたものです。この中にゼン・ゼンという都市が出てくるのですが、ここでは上級市民は意識を奪われて機械に接続され、機械が提供する極楽の夢を見続けることで生(?)を謳歌します。
私には、がらんとした部屋で映画を楽しむのが、私の頭の中でこのゼン・ゼン市民の様子と重なってしまって、真似をしたいとは思いませんでした(^^; 私はゲームは全くやらないし、映画もほとんど観ないのであまり関心がないというのもあるかと思いますが、これらが好きな方々はまた違った感想を持たれるのかもしれません。
筆者もスマホ(iPhone)は手放せないモノに入るようで、デジタル機器をどこまで減らせるかは多機能化がどこまで進むかに依るとことも大きいかもしれません。
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -
- 作者: 佐々木 典士
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2015/06/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
麻酔の本 [自然科学]
今回は、麻酔の本を2冊ご紹介します。いずれも麻酔科医が書かれたものです。
1.廣田 弘毅、『麻酔をめぐるミステリー』、化学同人(2012)
2.外 須美夫、『麻酔はなぜ効くのか?』、春秋社(2013)
1は麻酔について勉強する人を対象に書かれた入門書で、対話形式になっています。麻酔についての薬理学的な説明が中心ですが、麻酔発見から今現在までの流れも入っていて、エントリー本としては良いものかと。
麻酔は意識を消失させる働きがありますが、見方を変えれば「意識」を化学反応のネットワークとして捉えることにつながります。吸入麻酔薬により海馬の機能を完全にシャットダウンして記憶の形成を阻害すると、その間だけ記憶が飛ぶことがわかっている。記憶と意識は密接に関係しているが、それでは脳内でどのような反応が起きれば意識が生じるのか(著者は、「脳内で、どこの領域のニューロンが何個くらい、どのようなシグナルを発したら意識が生じるのか」といった、より科学的に正確に記載しています)についてはまだ不明とのこと。仮説はあるようですが(アセンブリモデルというものが紹介されています)、それが検証されるのは未だ先でしょう。
2は、臨床現場にいる麻酔科医のメッセージという内容で、「痛みの哲学臨床ノオト」というサブタイトルが付いています。手術室における麻酔科医の役割や働きについて書かれたエッセイで、麻酔科医の仕事と役割と重要性について知るには良い本かと思います。麻酔非常にartificialな状態であり、麻酔科医がサポートすることで初めて安全かつ有効に機能する、そしてその上に手術や鎮静という治療方法が確立しているということがよくわかります。
1.廣田 弘毅、『麻酔をめぐるミステリー』、化学同人(2012)
2.外 須美夫、『麻酔はなぜ効くのか?』、春秋社(2013)
1は麻酔について勉強する人を対象に書かれた入門書で、対話形式になっています。麻酔についての薬理学的な説明が中心ですが、麻酔発見から今現在までの流れも入っていて、エントリー本としては良いものかと。
麻酔は意識を消失させる働きがありますが、見方を変えれば「意識」を化学反応のネットワークとして捉えることにつながります。吸入麻酔薬により海馬の機能を完全にシャットダウンして記憶の形成を阻害すると、その間だけ記憶が飛ぶことがわかっている。記憶と意識は密接に関係しているが、それでは脳内でどのような反応が起きれば意識が生じるのか(著者は、「脳内で、どこの領域のニューロンが何個くらい、どのようなシグナルを発したら意識が生じるのか」といった、より科学的に正確に記載しています)についてはまだ不明とのこと。仮説はあるようですが(アセンブリモデルというものが紹介されています)、それが検証されるのは未だ先でしょう。
2は、臨床現場にいる麻酔科医のメッセージという内容で、「痛みの哲学臨床ノオト」というサブタイトルが付いています。手術室における麻酔科医の役割や働きについて書かれたエッセイで、麻酔科医の仕事と役割と重要性について知るには良い本かと思います。麻酔非常にartificialな状態であり、麻酔科医がサポートすることで初めて安全かつ有効に機能する、そしてその上に手術や鎮静という治療方法が確立しているということがよくわかります。
麻酔をめぐるミステリー: 手術室の「魔法」を解き明かす (DOJIN選書)
- 作者: 廣田 弘毅
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2012/07/30
- メディア: 単行本
扁桃腺炎とラー油 [日々のこと]
昨年までは、結構な頻度で扁桃腺炎に罹っていました。扁桃腺に細菌が感染して腫れ、痛いのと声が嗄れるのが主症状です。医者に行くと抗生物質を処方されます。一度はこれ以上酷くなったら入院だったと言われてしまいました。
年に数回繰り返すと慢性化が疑われ、扁桃摘出の手術を受けなければならなくなるとのこと。ちょっとそれは勘弁願いたいと思っていたのですが、原因は身近なところにありました。
それは、ラー油です。私はラー油のぴりっとした胡麻味が好きで、味噌汁や中華スープに入れていたのですが、それが喉を刺激して良くなかったようです。確かにラー油を入れた汁物を飲んだ時にはむせたりしていましたからねえ。ラー油を入れるのを止めたら扁桃腺炎にはぴたっとかからなくなりました。
誰かに指摘されて気がついたわけではなくて、自分で発見したのですが、身近なところに体調不良の原因が転がっていたという話でした。
年に数回繰り返すと慢性化が疑われ、扁桃摘出の手術を受けなければならなくなるとのこと。ちょっとそれは勘弁願いたいと思っていたのですが、原因は身近なところにありました。
それは、ラー油です。私はラー油のぴりっとした胡麻味が好きで、味噌汁や中華スープに入れていたのですが、それが喉を刺激して良くなかったようです。確かにラー油を入れた汁物を飲んだ時にはむせたりしていましたからねえ。ラー油を入れるのを止めたら扁桃腺炎にはぴたっとかからなくなりました。
誰かに指摘されて気がついたわけではなくて、自分で発見したのですが、身近なところに体調不良の原因が転がっていたという話でした。