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上野千鶴子、古市憲寿『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』、光文社新書(2011) [論説文]

社会学者、上野女史と院生の古市氏の対談で、日本の社会保障のシステム(主な話題は、介護)について取り扱ったものです。介護保険の歴史から、実態、問題点まで様々な話題が含まれているので、少しでも関心のある方に対してはお勧めできる書籍です。古市氏も、前書きで「読み終わったら知り合いで回し読みしてください」と言っているように、ここに書かれている内容は今後ますます重みを持ってくることでしょうね。

第1章 何が不安なのか、わらからない、という不安
第2章 介護という未知のゾーンへの不安
第3章 介護保険って何?
第4章 それより自分たちのこれからのほうが不安だった
第5章 少子化で先細りという不安
第6章 若者に不安がない、という不安
第7章 不安を見つめ、弱さを認めることからはじまる

様々な課題があるものの、介護保険は日本に定着していますが、施行当時は「家族崩壊」と騒がれた、と書かれています。これは、家族主義の介護をすべきだとの理由だったそうですが、結局のところ介護保険は日本で立ち上がった。これは結局のところ日本にとって非常にラッキーであったと説明されています。ここら編の事情は、昨今のニュースを見聞きしているだけでは得難い情報なので、非常に興味深く読めます。介護保険はあくまでも「補助」なので、元々それだけで足りないように作られているのだとも。

そう言えば、国民皆保険制度も施行当時には医師会が「医療の質が落ちる」と、猛反対したと聞いたことがあります。それが今では、「日本が世界に誇るべき制度」となっていたり(笑)。医療保険も介護保険も、先見の明があった人が制度を推進した、という格好いい話であれば、それはそれで素敵なのです。しかし少なくとも介護保険の方は財政健全化路線の一つで、あまり格好良い話ではないようですね。

ともかく、とても勉強になるというか、ためになる1冊ですので、お勧めです。

上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)

上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください (光文社新書)

  • 作者: 上野千鶴子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/10/18
  • メディア: 新書



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