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映画『バベル』 [映画]

2007年に公開された映画で、先日DVDで観た。

映画の題名は、「バベルの塔」のバベルに由来する。モロッコの砂漠を走っている観光バスの乗客が、いきなり銃で撃たれるところから物語が始まる。銃で撃たれた乗客の家族、そして乗客を銃で撃った人物の周辺を並行して描くことで物語が進行し、3本の糸が次第にひとつになってそれぞれの世界同士の関係が明らかになっていく。

乗客が撃たれるのは明らかに事件なのだが、それと並行して描かれる2つの物語は事件とは言い難く、しかも映画の中半くらいまでは関連がよくわからない。「なんじゃこりゃ?」といった感じ。中半以降は雲が晴れるようにクリアになっていくので、感動を覚えるかどうかはともかく理解はできる。ネット上の解説を見ると「孤独な魂をつなぎ合わせていく」とあるが、そこまで大袈裟な感じは受けなかったなあ。
http://www.werde.com/movie/new/babel.html

舞台は、モロッコ、メキシコ、そして日本の3箇所で少しずつ時間をずらして展開していく。舞台も言葉も異なる世界が根底でつながっていることを表現したかったのかもしれず、「バベル」というタイトルはそれを意識して付けられているのだろうか。

3つの世界で展開される物語はそれぞれ独立している。時間的な関係は敢えて語られていないのだが、1箇所だけリンクする箇所がある。撃たれたアメリカ人がモロッコの病院に搬送され、父親がアメリカの自宅で留守番している子供達とメキシコ人のメイドに電話をかける場面である。ここの場面から、メイドが自分の息子の結婚式に出るため子供達を連れてメキシコに帰るのは、モロッコでの銃撃事件が一段落着いた後だと知ることができる。またメキシコ人メイドが強制送還される時、子供達の親は怒っているが彼女を訴えることはしないと知らされる。ここの部分では間接的ではあるが2つの世界の交わりがある。

一方で日本で展開される物語は他の2つの世界との交わりは薄い。他の2つの世界から断絶されてしまっており、閉じた世界を連想させる。この関係性は監督の意図の元に作られていると考えられ、ここの部分がこの映画の一番の見所ではないだろうか。

映画それ自体を単独でポンと観てもあまり楽しめないが、解説記事を読んで考えると意外と味わい深いところがあるかもしれない。

以上
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