池田清彦 著『38億年生物進化の旅』、新潮文庫(2012) [自然科学]
ISBN978-4-10-103526-0 C0195
460円
☆☆☆☆★
生物学者が書いた進化論の入門書です。”生物学者が”というところが実はミソで、分子レベルの話しかできない分子生物学者が書いた本ではありません。そのような意味で、本流の生物学者が書いた、個体の生物のことをよく知っている科学者による、進化の本です。
かなりの駆け足ではありますが、生命誕生から現在まで一通り追ってくれます。何度か起きた(であろう)大絶滅の話や、進化はどのようにして起きたか、などの話もわかりやすく説明してくれます。分子生物の本ではないのでタンパク質やDNAの細かい話はありませんが、そこは生物学者の書いた本ですから、個体レベルで生物を丸ごと見るところに主眼が置かれているので、この本とはそのようにして接しなければなりません。
面白かったのが、進化を種で起きる小さなものと新しい種ができる大きなものとに分けて考えている点。両者を遺伝子の突然変異のみで全部まとめて説明するのは無理、と論じます。後者のメカニズムは遺伝子の使い方の変異なのだ、と。この辺は生物全体を見る視点がないと出てこない考え方なので、かなり新鮮に感じました。
遺伝子配列や、酵素の機能といった生化学や分子生物学ばかり勉強している人には是非手にとってもらいたいと思います。
460円
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生物学者が書いた進化論の入門書です。”生物学者が”というところが実はミソで、分子レベルの話しかできない分子生物学者が書いた本ではありません。そのような意味で、本流の生物学者が書いた、個体の生物のことをよく知っている科学者による、進化の本です。
かなりの駆け足ではありますが、生命誕生から現在まで一通り追ってくれます。何度か起きた(であろう)大絶滅の話や、進化はどのようにして起きたか、などの話もわかりやすく説明してくれます。分子生物の本ではないのでタンパク質やDNAの細かい話はありませんが、そこは生物学者の書いた本ですから、個体レベルで生物を丸ごと見るところに主眼が置かれているので、この本とはそのようにして接しなければなりません。
面白かったのが、進化を種で起きる小さなものと新しい種ができる大きなものとに分けて考えている点。両者を遺伝子の突然変異のみで全部まとめて説明するのは無理、と論じます。後者のメカニズムは遺伝子の使い方の変異なのだ、と。この辺は生物全体を見る視点がないと出てこない考え方なので、かなり新鮮に感じました。
遺伝子配列や、酵素の機能といった生化学や分子生物学ばかり勉強している人には是非手にとってもらいたいと思います。
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