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本日の読売新聞夕刊 本よみうり堂トレンド館 [論説文]

帰宅して夕刊を読んだら、東大と早大の生協売上げベストテンの中に、外山滋比古氏の『思考の整理学』が入っていた。

私がこの本を読んだのは1992年なので、今から17年前である(^^; 先日、『思考の整理学』の姉妹版とも言える『「読み」の整理学』を読了した。

どちらもお勧めであるが、順序としては『思考の整理学』を読み、その次に『「読み」の整理学』を読まれることをお勧めしたい。前者の方が知的生産や知的生活に関する一般的な解説になっているからだ。「読む」行為は知的生活の中の一部であるから、別途取り扱う方が望ましいと思っている。2冊ともインターネットはおろかコンピューターさえ当たり前ではない時代に書かれたものであるが、内容的に見て古くさい感じはせず、今読んでも充分に価値があると思っている。大学生はもちろん、高校生や中学生にもお勧めしたい。

以上
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ロバート・ブラウン『ザ・ニューリッチ』-アメリカ新富豪層の知られざる実態、感想文をアップロード [論説文]

アメリカ新富豪層、いわゆるリッチスタンと呼ばれている人たちをルポルタージュした本を読みましたので、感想文をアップロードしました。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/Kaede02/bookreport/bookrep19.html

先週、小林多喜二『蟹工船・党生活者』の感想文と合わせてお読みいただければと思います。
『蟹工船』の世界は、労働者と管理側が鋭く対立する様をリアルに描き出していますが、現実世界で起きていることはこの当時に比べ遙かに複雑です。グローバル化、ボーダーレスという言葉に代表されるように、外国で起きた事件が自国に深刻な影響を及ぼすような社会ですので(サブプライムローンが良い例です)、物事を多角的に見るためにもお勧めです。アメリカン・ドリームの変形という気がしなくもないですが、やり方によっては大きな財を築く可能性が以前と比べて大きくなっていること、同時にその財を失う可能性もあることが如実に語られています。

以上



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水月昭道『高学歴ワーキングプア』、光文社新書 [論説文]

先日書き込んだ、高学歴就職難民の続きで、非常勤講師の立場でパーマネント職を探している者からの現場レポート。
大学院重点化政策やポスドク制度についても、詳しく書かれているので、興味のある方にはお勧め。

水月明道『高学歴ワーキングプア』~「フリーター生産工場」としての大学院、光文社新書(2007), ¥700

著者の主張は、先のTV番組と同じで、専門職に固執するな、なのであるが、大学の姿勢についてかなり厳しく批判している点は新しい。「経営のために、学生を増やす」意識で大学を運営されたのではたまったものではない、卒業生の進路を真剣に考えてくれというメッセージであるが、これが本当だとしたらやはりかなりマズイことである。

大きな流れとしては小子化、学生減少の方向にあるのだから、学生も大学もそれを見据えた将来計画が必要、ということか。

以上

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高学歴就職難民 [論説文]

数日前のTVで、「高学歴就職難民」を扱った番組を見た。

高学歴ワーキングプアという言葉は聞いたことがあったが、この言葉とほぼ同義語かと思われる。要するに、高学歴(大学院博士課程卒)の所有者ではあるが、定職に就けずに非常勤やアルバイト生活を続ける人たちを指す。TVで紹介されていた方は、社会科学系の博士課程を卒業し、著書や論文をいくつか出しているが、常勤の職に就けずに非常勤講師をかけもちし、年収が100万円台だそうだ。年金生活をしている両親と同居しての生活だそうだが、これでは苦しいだろう。必要な書籍や文献の入手にも支障が出るのではないだろうか。

1990年代に、大学院の定員が大幅に増やされた時期があったが、それと連動する形でアカデミック・ポジションの方は増えなかったのが原因だそうだ。分野にもよるが、博士卒の人たちは、アカデミック・ポジションを希望する人が多いので、このミスマッチは致命的とも言える。その結果として、思うように就職ができない人たちが大量に発生したらしい。

自分の望んだ職業に就くために、可能な限り理想は追求すべきである。が、望んだような結果が必ず手に入るとは限らない。
収入が無ければ研究を続けることはおろか、生活をすることができないのだから、まずは収入源は確保すべきだろう。死活問題である。それでも、生活をかけて理想を追求したいと思うのならば、それはそれで一つの考え方かとは思う。

以前、将棋のプロ(棋士)に関する本を読んだことがある。プロの登用試験というのは年齢制限があって、一定年齢以上になると受験資格を失うそうだ。非情なように思えたが、将棋一筋に何年も費やし、結局ものにならなかった場合、本人にとって悲劇である。だから、そのための措置だそうだ。あなたの将来のためだから、将棋はここまでにして他の道に進みなさい、と。同様の措置は、「高学歴難民」に対しても必要なのかもしれない、と思う。

今の世の中、高学歴であることと、お金を儲けることは取りあえずは無関係である。お金を儲けるのも一つの才能であり、やはり得手不得手があるだろう。方法はともかくとして(親のスネをかじるというのも方法か?)将来にわたって生活が可能な収入を確保するというのは、社会人としての基本だと思うのだ。

高学歴難民の問題は、上述した棋士の他、芸術家、作家、俳優など、容易に実現しない(と思われている)職業全般について言われていことと根は同じように思うのだ。だから、生き方は単一路線ではなくて、複数用意する、alternativeの発想を是非持っていただきたいように思う。

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小谷野敦『反=文藝評論』-文壇を遠く離れて/新曜社(2003) 読了 [論説文]

小谷野敦氏の評論集を読了、文学作品で、氏が解説を書いたものも収められていて、結構楽しむことができた。

小谷野氏の書籍は、結構読んでいるが、女性作家の書いた文学作品や、村上春樹に関する言及も多くて、参考になっている。私のweb-siteでもいくつか取り上げているが、文学作品について論じる際の、論の運び方など参考にさせてもらっている。

この書籍の中で取り上げられている、藤堂志津子『プライド』は、以前に私も読んでいる。ストーリーとしてはまあまあ面白かった記憶があるのだが、小谷野氏のように深く読むことはなかった。昔読んだ『プライド』を引っ張り出してきて、再読してみたが、確かに主人公の心の動きに気をつけながら読み進むと、確かによく作られている作品だと思った。お勧めである。

村上春樹に関しては、『ノルウェイの森』についての詳細な分析が掲載されている。氏は、この作品を評価しない立場とのこと。この作品に関して言及した文献が豊富に挙げられているので、これだけでも有用な資料になるだろう(だたし、2003年時点までのものまで)。『ノルウェイの森』だけではなくて、村上春樹の代表作に関して広く言及していて、こちらもなかなか読みごたえがあるように思う。

以上
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梅田望夫『ウェブ時代をゆく』、ちくま新書(2007) [論説文]

梅田望夫氏の著書を1冊、「作品解釈ツールとしてのパソコンの活用法」のセクションに追加しました。

梅田氏が論じているのは、WEB 2.0の世界なので、作品解釈ツールとしての活用という視点ではないのですが、インターネットを活用したコミュニケーションの進化といった観点から、有用な書籍かと思われます。

知的生産とは、他人に対して情報を発信することであると定義すると、ウェブサイトを開いたりブログを書いたりするのは知的生産と言えるでしょう。情報をインターネットに載せて発信することは、特に個人に対して限りない可能性を与えてくれると言えます。

渡辺昇一『知的生活の方法』が出た当初は、知的な生活というのは本を買い続ける生活だと言えましたが、現在では必ずしもそれは成り立たなくなっています。もちろん本を買うことの重要性は落ちていませんが、本というハードを揃えるための空間に関しては渡辺氏の時代から見ると制約は少なくなったと言えるでしょう(少なくとも、パソコンやネット環境が整えば空間を節約できる可能性はある)

梅田氏の著書については、この正月休みにいくつか集中して読んだので、適宜サイトやブログで取り上げていきたいと思います。

以上


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梅田望夫・平野啓一郎『ウェブ人間論』、新潮新書(2006) [論説文]

正月休みに梅田望夫の本を集中して数冊読みました。

この人の書いた、『ウェブ進化論』は有名で、かなり売れたようです。この『ウェブ人間論』という本は、ネットと人間(の生活)の関わり方について焦点を当てた本で、作家の平野啓一郎氏(私はこの人の本を読んだことがありません)との対談形式になっています。

梅田氏は、ネットは個の可能性を限りなく増大させてくれるものだとの立場に立っていて、団体やチームというよりは個の視点から論じているのが特徴ですね(これはこの本に限らず、氏が書いた他の著書でも言えることですが) 結果的に世の中全体の変化についての論になっていますけれど、それにはまず個が生き延びるのが前提でそのために押さえておかなければならない心構えというか、考え方を提示しています。

平野氏は、梅田氏よりも15歳ほど若いのですが、この本の対談ではむしろ梅田氏よりも世代が上という印象を持ちました。ネット上での著作権問題や匿名に起因する問題など、新聞やテレビでしばしば取り上げられるトラブルについて平野氏が梅田氏に問いかけているのですが、梅田氏の見解は前向き、かつ明解であって、読みごたえがあります。

梅田氏は、リアル社会とネット社会という2つの軸で論じています。
インターネットが無かった時代には、もちろんリアル社会しか存在しないわけですが、ネット社会(もうひとつの地球)ができてから人々は第2の社会を生きられるようになりました。私は、これは基本的には選択肢が増えたという意味で良いことだと思っています。この著書の中でも少し触れられていますが、リアル社会で成功しなくてもネット社会で成功する可能性があるわけで、個の視点から考えるとより広い可能性を試せるわけですから。

梅田氏の他の著書についても、順次取り上げていきたいと思います。


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