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比嘉邦彦、井川甲作著『クラウドソーシングの衝撃』、株式会社インプレス(2013) [自然科学]

☆☆☆☆★

クラウドはCloudではなくて、Crowd(群衆)の意味。インターネットが普及してインドや中国から優秀で低価格の知力を活用できるようになり、仕事が劇的に変わる、ということを力説した本。今までとは比較にならないくらい大きな雇用流動化が引き起こされる可能性があるという。こういう話はワクワクしますo(^-^)o ただ、教科書的というか、よく言えば具体的な話も含めて一通り入っていて、面白いところだけつまみ食いする構成にはなっていないので、最初から最後まで全部ワクワク、というわけにはいかないかもしれません。

自分は、何らかのプロフェッショナルで生計を建てるんだ、と考えている人にはよいかも。」

クラウドソーシングの衝撃 雇用流動化時代の働き方・雇い方革命 (NextPublishing)

クラウドソーシングの衝撃 雇用流動化時代の働き方・雇い方革命 (NextPublishing)

  • 作者: 比嘉邦彦
  • 出版社/メーカー: インプレスR&D
  • 発売日: 2013/06/27
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)



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小山なつ著『痛みと鎮痛の基礎知識(下)』、技術評論社(2010) [自然科学]

ISBN978-4-7741-4158-9 C3047, 1,580円
☆☆☆★★

上巻に引き続き下巻も読了。

痛みにまつわる様々な病気や治療法の紹介が中心で、発見の歴史や人物の紹介に力を入れている感じ。教師が教える時のネタ本としてはよいかもしれないが、正直読んでいて退屈気味。歴史系が好きな人には面白いかも。


痛みと鎮痛の基礎知識[下]臨床編 ~さまざまな痛みと治療法 (知りたい!サイエンス)

痛みと鎮痛の基礎知識[下]臨床編 ~さまざまな痛みと治療法 (知りたい!サイエンス)

  • 作者: 小山 なつ
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2010/02/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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小山なつ、『痛みと鎮痛の基礎知識(上)』、技術評論社(2010) [自然科学]

ISBN978-4-7741-4157-2 C3047
1580円
☆☆☆★★

上下巻に分かれた、疼痛の読み物。下巻が痛みにまつわる病気や治療法の紹介で、上巻はそれを理解するための基礎知識となっている。序文には少し難しいかもしれないと書かれているが、難しいのではなくて事実の羅列がひたすら続くのでだんだん読むのが辛くなってくる、というのが正直なところ。縦書きの読み物にはなっているが、スタイルは教科書そのものかと。

痛みに関する色々な発見について、発見者の名前とどのような実験をやったのかが割と詳しく書かれているので、先生が学生に教える際のネタ本としてもよいかもしれない。

下巻はこれから読むが、この本だけで基礎知識を学ぶのはちょっと辛い感じ。。他の副読本も併用することをお勧めする。


痛みと鎮痛の基礎知識[上]基礎編 ~脳は身体の警告信号をどう発信するのか (知りたい!サイエンス)

痛みと鎮痛の基礎知識[上]基礎編 ~脳は身体の警告信号をどう発信するのか (知りたい!サイエンス)

  • 作者: 小山 なつ
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2010/02/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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池田清彦 著『38億年生物進化の旅』、新潮文庫(2012) [自然科学]

ISBN978-4-10-103526-0 C0195
460円
☆☆☆☆★

生物学者が書いた進化論の入門書です。”生物学者が”というところが実はミソで、分子レベルの話しかできない分子生物学者が書いた本ではありません。そのような意味で、本流の生物学者が書いた、個体の生物のことをよく知っている科学者による、進化の本です。

かなりの駆け足ではありますが、生命誕生から現在まで一通り追ってくれます。何度か起きた(であろう)大絶滅の話や、進化はどのようにして起きたか、などの話もわかりやすく説明してくれます。分子生物の本ではないのでタンパク質やDNAの細かい話はありませんが、そこは生物学者の書いた本ですから、個体レベルで生物を丸ごと見るところに主眼が置かれているので、この本とはそのようにして接しなければなりません。

面白かったのが、進化を種で起きる小さなものと新しい種ができる大きなものとに分けて考えている点。両者を遺伝子の突然変異のみで全部まとめて説明するのは無理、と論じます。後者のメカニズムは遺伝子の使い方の変異なのだ、と。この辺は生物全体を見る視点がないと出てこない考え方なので、かなり新鮮に感じました。

遺伝子配列や、酵素の機能といった生化学や分子生物学ばかり勉強している人には是非手にとってもらいたいと思います。


38億年 生物進化の旅 (新潮文庫)

38億年 生物進化の旅 (新潮文庫)

  • 作者: 池田 清彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/08/27
  • メディア: 文庫



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ジュディ・ダットン/横山訳『理系の子』、文藝春秋(2012) [自然科学]

ISBN978-4-16-375080-4
1,700円
☆☆☆☆☆

序章  これがサイエンス・フェアだ
第1章 核にとり憑かれた少年
第2章 ゴミ捨て場の天才
第3章 わたしがハンセン病に?
第4章 鉄格子の向こうの星
第5章 ホース・セラピー
第6章 デュポン社に挑戦した少女
第7章 もはやこれまで
第8章 手袋ボーイ
第9章 イライザと蜂
第10章 ロリーナの声に耳を傾けて
第11章 第二のビル・ゲイツ
第12章 世界最大のサイエンス・フェア
第13章 そして、優勝は・・・
終章 祭りの終わりに


インテル国際学生科学フェア(ISEF)という、高校生の科学オリンピックの様子を描いたドキュメンタリーです。これは国際的な催しですが、日本では日本学生科学賞、高校生科学技術チャレンジというフェアがこのSIEFと提携していて、このどちらかを勝ち抜くとISEFへ出場できるそうです。

ISEFに参加した6名の生徒の生い立ち、フェア出場に至るまで、その後が詳しくレポートされているのですが、その多様性に驚かされます。これは日本と米国の差かもしれず、日本の方が家庭環境がずっと均一だというバイアスがあるとは思いますが。それにしてもどのような環境に置かれようと、動機はどうであろうと、良質のテーマは科学的な好奇心でほぼ決まる、という当たり前の事実をこれほど力強く、クリアに示してくれている読み物は無いでしょう。

最後に特別寄稿として、日本からISEFに参加した、千葉県の高校生のレポートが載っています。

一読をお勧めします(^_-)


理系の子―高校生科学オリンピックの青春

理系の子―高校生科学オリンピックの青春

  • 作者: ジュディ ダットン
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/03
  • メディア: 単行本



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マーカス・ウォールセン/矢野真千子訳『バイオ・パンク』、NHK出版社(2012) [自然科学]

ISBN978-4-14-081532-8 C0098
1800円
☆☆☆☆☆

第1章 シンプルな遺伝検査
第2章 アウトサイダーのイノベーション
第3章 バイオハッカーの源流
第4章 自分で科学する
第5章 途上国のためのバイオテクノロジー
第6章 価格を下げてハードルを下げる
第7章 遺伝子組換え作物はだれのため?
第8章 遺伝子の所有権はだれのもの?
第9章 リスクのない医学の発展はない
第10章 キッチン発のイノベーション
第11章 生命の言語を読む
第12章 生命の言語を書く
第13章 バイオテロ
第14章 アウトブレイク
最終章(PART IV)

コンピューターはガレージ発の企業や発明が可能だが、バイオテクノロジーにはそれは不可能だとされていた(少なくともそう広く信じられていた)。理由は簡単で、実験施設と専門的なトレーニングが要るから。実験施設とは、フランケンシュタインや映画「ジェラシック・パーク」に出てくる実験室を想像してもらえばよいが、かなり大がかりである。ノートパソコン1台あれば起業できてしまうのと大違いだ。専門的なトレーニングの方も事情は同じで、本屋やネットで情報を集めて独学し、ソフトウェア・コードを書くような具合にはいかない。どうしても学校で専門知識を学ぶ必要があるのである。しかも生物の振る舞いはブラックボックスで、こうすれば必ずこうなるという、プログラミングには無い難しさがある。このため期待通りの結果が出るかはわからない。これがバイオテクノロジーの最大の関門だ。

しかし、時代は変わったのか、DIY生物学者なる概念が既に米国には存在するそうだ。未知の発見や、誰も作れなかった夢の薬を作るとか、そのようなものではなく、既にプロの間では確立され、商品化されている製品やサービスを自宅の、キッチンでやってしまおうとする流れだ。ヒトゲノムが解読されて10年以上の年月が経過し、今では特定の遺伝子に異常があるかどうかも調べることができる。また、遺伝子を構成するDNA断片をオーダーして合成してもらい、宅配便にてそれを受け取ることも可能だ(日本で、個人がオーダーしてやってくれるかどうかは不明)。遺伝子分析技術やそれを利用したサービスは、キッチンで実施可能であり、パソコンソフトと同様に個人で起業可能な世界になったのだ。

僕は、この意味はとてつもなく大きいもののように思う。専門ラボで確立された技術を「小さく、安価に、使いやすく」するだけで世界が変わる。発展途上国でPCR検査、自分を知るためのゲノム解析、ペットや農作物のゲノム解析、等等、応用可能性はとてつもなく広い。シリコンバレーでは独学のパソコンおたくがパーソナルコンピューター(とその上で動作するOS)を作り上げた。DIYバイオテクノロジーは専門家のラボ技術を大衆に広げるという、逆の流れになるだろう。そのうちに学研の「科学」にもバイオ実験キットが付属する時代が来るだろう。

以上



バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!

バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!

  • 作者: マーカス・ウォールセン
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2012/02/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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小野三嗣『ひげの科学』、玉川選書(1980)、979円 [自然科学]

小野三嗣『ひげの科学』、玉川選書(1980)、979円
ISBN4-472-15221-8 C1375
☆☆☆☆★

8年前に阿佐ヶ谷にある古本屋にて購入。長らく書棚の肥やしだったが先日読了。

第1章 ひげと運動生理学
第2章 ひげ診断学
第3章 ひげの生涯
第4章 ひげ推理学
第5章 ひげと我が人生
第6章 ひげと頭髪の比較
第7章 頭髪とふけ
第8章 閑話休題

著者は東京慈恵会医科大学の先生で運動生理学の研究者。中学生か高校生の夏休みの自由研究をそのまま発展させたような内容で、素朴な感じがして読んでいて楽しい。自分の髭の量を毎日測って統計を出し、気温や年齢との相関を分析したり、運動でひげの量が変わるかを調べている。年間のひげ総量の加齢による変化では、なんと20年にわたってデータを蓄積して分析している。ここまでやるか!というほど徹底的なデータ収集はまさに研究者の鏡である。

筆者がひげの研究を始めた動機は、自分のひげならばいつどこででも材料が手に入るから、と述べている。こんないい加減な(失礼)動機で、20年も観察を続けたとはたまげた(^^; 筆者は元々そのような資質を有していて、たまたま材料が自分のひげだっただけで、他のものでも同様なやりかたでデータ収集、分析をやったに違いない。事実、本の中で筆者は、「実験こそがおしゃぶり」と言っている。(pp.112)

6,7章はひげからの発展として、頭髪とふけの話が続く。手法はひげと同様、来る日も来る日もひたすらデータを蓄積してグラフ化し、その変化のパターンを読み取るというものである。

そもそもN=1の観察事実であり(筆者も、その点については理解しており法則を導くのは無理だと述べている)、その結果から人類のためになることが導き出せているわけではない。自分の身体を実験材料として丹念に(しかも長期間)観察し、そこから得られたデータを元にあれこれ考える、夢を膨らませて楽しむのが本書の醍醐味であり、科学研究の仕事というよりは遊び心いっぱいの自由研究の匂いがする。

中学生、高校生あたりにお勧めの本。

以上

ひげの科学 (玉川選書)

ひげの科学 (玉川選書)

  • 作者: 小野 三嗣
  • 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
  • 発売日: 1980/05
  • メディア: 単行本



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金子隆一『ぞわぞわした生きものたち』、サイエンス・アイ新書(2012),952円 [自然科学]

金子隆一『ぞわぞわした生きものたち』、サイエンス・アイ新書(2012),952円
ISBN978-4-7973-4411-0 C0245
☆☆☆★★

サブタイトルに、古生代の巨大節足動物とある。これは古代に生きていた、今は絶滅してしまった巨大な節足動物(要するに、ムカデやヤスデの類)の写真入り解説書である。

第1章 節足動物
第2章 三葉虫
第3章 ウミサソリ
第4章 陸上鋏角類
第5章 多足類
第6章 六脚類

それぞれ対象となる生物種ごとに章立てされていて、系統樹とスケッチ、そして化石の写真が載っている。私はあまり好みではないのだが、この手の生物にロマンを感じる人はいるので、そのような向きには面白い本ではなかろうか。写真だけ見ても楽しめると思う。
三葉虫にもたくさんの種類があって、中には面白い形をしたものもいたようである。このような形態学的な変化が固定されるまでに要した時間はいったいどれくらいであったのか、またその形態学的な変化に関わる遺伝子の数はどれくらいであったのかは興味あるところである。

普通は、化石からその生物が生きていた時の色はわからないそうだ。しかし中には例外的に色が推定できたものがあるそうだ。それは三葉虫の一種で、眼は緑色、身体は赤色だったらしい。

以上


ぞわぞわした生きものたち 古生代の巨大節足動物 (サイエンス・アイ新書)

ぞわぞわした生きものたち 古生代の巨大節足動物 (サイエンス・アイ新書)

  • 作者: 金子 隆一
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2012/03/19
  • メディア: 新書



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土居守、松原隆彦『宇宙のダークエネルギー』、光文社新書(2011),\760 [自然科学]


宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く (光文社新書)

宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く (光文社新書)

  • 作者: 土居 守
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/16
  • メディア: 新書



土居守、松原隆彦『宇宙のダークエネルギー』、光文社新書(2011),\760
ISBN978-4-334-03642-3 C0244
☆☆☆☆★

宇宙論の一般書で、ダークエネルギーを意識的に取り上げた書。

第1部ダークエネルギーの謎と物理学
第1章 膨張する宇宙
第2章 宇宙のタイムライン
第3章 小さすぎる真空のエネルギー
第4章 ダークエネルギーの正体をめぐる理論の混迷

第2部
第1章 天体の観測
第2章 超新星を使ってダークエネルギーを測る
第3章 様々なダークエネルギー測定方法
第4章 ダークエネルギー観測の現状と展望

入門書ですが、単なる概念の紹介ではなくて実際の測定方法や測定原理に趣が置かれています。第一線の天体物理学者が自分の仕事をわかりやすく丁寧に書かれたものになっています。宇宙論そのものの紹介は他の啓蒙書とあまり代わりばえしませんが、もう少し現場に踏み込んでみたい人(現場の雰囲気を感じたい人)には面白いかも。著者はおそらく理論家というよりは実験(観察)家で、ダークエネルギーの存在が種類の異なった複数の実験、理論から支持されていることを強調していて、科学的な物の考え方を丁寧に説明してくれています。中学生や高校生の副読本としても良いでしょう。
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佐藤勝彦著『インフレーション宇宙論』、講談社ブルーバックス(2010) [自然科学]


インフレーション宇宙論 (ブルーバックス)

インフレーション宇宙論 (ブルーバックス)

  • 作者: 佐藤 勝彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/09/22
  • メディア: 新書



佐藤勝彦著『インフレーション宇宙論』、講談社ブルーバックス(2010)
ISBN978-4-06-257697-0 C0244
☆☆☆★★

最新の知見を踏まえて書かれた、宇宙論の入門書です。朝日カルチャーセンターで行われた、一般向けの宇宙論の講演がベースになっているもので、内容および書き方から察するに講演録を起こしたものでしょうね。宇宙の年齢や姿を科学的に捉えるとはどのようなことなのかについて誠実に記載されています。

話の中心はインフレーション理論で、著者はその構築に一役買っていたようです。この理論ができる前後の話も比較的詳しく取り上げられていますので、宇宙論の流れを知るにもよいでしょう。現在考えられている、主な宇宙モデルの紹介もされています。それらはとても直感でわかる代物ではないのですが、そこをなんとかわかりやすく説明しようと試みる姿勢は評価できます。

1998年に、現在の宇宙が加速膨張をしていることが発見されたというくだりから、話は面白くなります。さらに、真空がエネルギーを持っていることは既に実験的に証明されている、ということも面白いですね。ただし、真空のエネルギーは宇宙が膨張しても薄まらないというくだりは感覚的に受け容れがたいですが。さらに話は多数宇宙へ発展し、様々な面白い考え方が紹介されています。

以上
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